ファインチューニング
すでに学習済みのAIモデルに、特定の用途に合わせた追加の学習をして、パラメータを調整することです。少ないデータで特定の作風や専門分野に寄せることができます。
くわしく
AI事業者ガイドラインは、AIの学習を、土台となる力を作る「事前学習」と、その後に用途に合わせて調整する「事後学習」に分けて説明しています。ファインチューニングは事後学習の主な手法の一つで、専門知識の補完などに使われます。Googleの用語集も、事前学習済みモデルに対して特定の用途向けに行う2回目の学習と説明しています。
たとえるなら、一通りの基礎を身につけた料理人に、特定の店の味を短期間で覚えてもらう研修です。ゼロから育てるより少ない手間とデータで済む点が特徴です。画像生成の分野では、文化庁の資料が、少量のデータで追加学習し、そのデータの影響を強く受けた生成物を作れる技術の例として「LoRA」を挙げています。
ガイドラインは、提供者や利用者がファインチューニングを行う場合も、開発者と同様に安全性の担保に努めることが重要だとしています。また、学習の元にするモデルを選ぶ際に、商用利用可能なライセンスか、事前学習データは何かなどを確認するよう挙げています。
クリエイターにとってのポイント
- 出口(著作権):文化庁の資料は、学習データに含まれる著作物の創作的表現を意図的に出力させることを目的とした追加学習について、著作権法第30条の4が適用されない(享受目的が併存する)場合の例として挙げています。
- 入口(情報漏洩):自社の文書や顧客データで追加学習をすると、その内容がモデルに取り込まれます。NISTは、学習データに含まれていた情報をモデルが出力してしまう「データの記憶」のリスクを挙げています。
- 米国商務省NTIAの報告書は、公開されたモデルでは、ファインチューニングによって安全対策が取り除かれうるリスクを指摘しています。
- AI事業者ガイドラインは、元にするモデルのライセンス(商用利用の可否)や事前学習データの確認を挙げています。
具体的な場面の例
- イラストレーターが、自分の過去作だけを使ってLoRAを作り、ラフ制作を効率化する場面と、他人の作品を集めてLoRAを作る場面。文化庁の資料では、学習に使う著作物とその目的が論点として整理されています。
関連する用語
出典・一次情報
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(第1部「学習」脚注17/脚注33/第3部 D-2)」
- 文化庁(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)「AIと著作権に関する考え方について(令和6年3月15日)3.(2)生成AIに関する新たな技術/5.(1)開発・学習段階」
- NIST「NIST AI 600-1 Generative Artificial Intelligence Profile(2.4 Data Privacy)」
- NTIA(米国商務省 国家電気通信情報庁)「Dual-Use Foundation Models with Widely Available Model Weights Report: Background」
- Google for Developers「Machine Learning Glossary: Generative AI(fine-tuning/parameter-efficient tuning)」