拡散モデル
データに少しずつノイズを加えて壊していく過程を考え、その逆にノイズから元のデータを復元する過程を学習する生成モデルです。多くの画像生成AIの基礎になっています。
くわしく
拡散モデルの考え方は、2015年の論文(Sohl-Dicksteinほか)で示されました。データの構造を少しずつ壊していく「拡散」の過程と、それを逆にたどって構造を取り戻す過程を学習させる、というものです。
たとえるなら、写真に砂嵐のようなノイズを少しずつかけて真っ白にしていく様子を大量に観察し、逆に「砂嵐から少しずつノイズを取り除いて写真に戻す」技を身につけるイメージです。学習が済めば、ランダムなノイズから出発して、もっともらしい画像を作り出せます。
2020年の論文(Hoほか)は、この手法で高品質な画像生成ができることを示しました。2021年の論文(Rombachほか)は、画像をそのまま扱うのではなく圧縮した表現の上で拡散モデルを動かすことで計算量を大きく減らし、テキストなどを条件として画像を生成できるようにしました(潜在拡散モデル)。文章で指示して画像を作る仕組みは、こうした研究の延長にあります。
クリエイターにとってのポイント
- 出口(著作権):2023年の研究(Carliniほか)は、拡散モデルが学習データ中の個々の画像を記憶し、生成時にそのまま出力することがあると報告しました。抽出された例には、個人の写真や商標登録された企業ロゴも含まれていたとしています。
- 文化庁の資料は、画像を入力して画像を得る「Image to Image」で既存の著作物そのものを入力する場合を、依拠性が認められる例として挙げています。
- 文化庁の資料は、少量のデータで追加学習し、そのデータの影響を強く受けた画像を生成できる技術(LoRAなど)を、著作権に関係しうる新たな技術として取り上げています。
具体的な場面の例
- デザイナーが、画像生成AIで作った背景素材をWebサイトに使う場面。生成画像の中に実在の企業ロゴや特定の人物に似た要素が紛れていないかが、公開前の確認ポイントになります。
関連する用語
出典・一次情報
- arXiv(Sohl-Dickstein et al., 2015)「Deep Unsupervised Learning using Nonequilibrium Thermodynamics」
- arXiv(Ho, Jain, Abbeel, 2020)「Denoising Diffusion Probabilistic Models」
- arXiv(Rombach et al., 2021)「High-Resolution Image Synthesis with Latent Diffusion Models」
- arXiv(Carlini et al., 2023)「Extracting Training Data from Diffusion Models」
- 文化庁(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)「AIと著作権に関する考え方について(令和6年3月15日)3.(2)生成AIに関する新たな技術/5.(2)生成・利用段階」