名誉毀損
多くの人に伝わる形で事実を示し、人の社会的な評価を下げることです。刑法では犯罪として、民法では損害賠償や名誉回復の対象として定められています。
くわしく
刑法第230条は、公然と事実を摘示(具体的な事実を示すこと)して人の名誉を毀損した者を、その事実が本当かどうかにかかわらず、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めています。亡くなった人の名誉については、うその事実を示した場合に限って処罰されます。
一方で、公共の利害に関わる事実について、もっぱら公益を図る目的で示した場合に、事実が真実だと証明されたときは罰しないという特例があります(刑法第230条の2)。事実を示さずに人を侮辱した場合は、侮辱罪(第231条)が定められています。これらの罪は、告訴がなければ起訴できない親告罪です(第232条)。
民事では、名誉の侵害は不法行為として損害賠償の対象になり(民法第709条・第710条)、裁判所は損害賠償に代えて、または損害賠償とともに、名誉を回復するための適当な処分を命じることができます(民法第723条)。法務省は、インターネット上の名誉毀損などの人権侵害について相談窓口を設けています。
クリエイターにとってのポイント
- 出口(成果物を公開してよいか)に関わります。記事・動画・SNS投稿などで実在の人物や企業について具体的な事実を示すときに関係します。
- 刑法第230条は、示した事実が本当かどうかにかかわらず成立しうると定めています。真実性の証明による特例(第230条の2)には、公共性・公益目的などの条件があります。
- 生成AIの出力には、実在の人物について不正確な内容が含まれるリスクがあると、個人情報保護委員会も注意喚起で指摘しています(ハルシネーション)。
- 法務省は、被害を受けた人がプロバイダなどに削除を依頼する方法や、相談窓口(みんなの人権110番、インターネット人権相談など)を案内しています。
具体的な場面の例
たとえば、生成AIに実在の経営者の経歴を書かせ、そのまま「過去に不祥事を起こした人物」として紹介する記事を公開する場面では、刑法第230条(名誉毀損)や民法第709条・第723条(損害賠償・名誉回復)の規定が関係するとされています。