取適法
下請法が改正・改称され、2026年1月1日から施行された法律です。一定規模以上の発注者に、取引条件の明示や60日以内の支払いなどを義務づけ、一方的な代金決定などを禁止しています。
くわしく
正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、「中小受託取引適正化法」「取適法」と略されます。下請代金支払遅延等防止法(下請法)を改正したもので、2026年1月1日に施行されました。公正取引委員会と中小企業庁が所管しています。
用語も変わり、「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」になりました。対象の取引には、プログラムや映像、デザインなどの「情報成果物作成委託」も含まれます(第2条)。
主な改正点として、中小受託事業者から価格の協議を求められたのに応じないなど、一方的に代金を決める行為の禁止(第5条第2項第4号)、手形払の禁止、資本金の基準に加えて従業員数の基準の追加、発荷主から運送事業者への「特定運送委託」の追加などが挙げられています。委託事業者には、取引条件の明示(第4条)、受け取りから60日以内の支払期日の設定(第3条)、受領拒否・減額・買いたたきなどの禁止(第5条)が定められています。
クリエイターにとってのポイント
- 出口(成果物の納品)に関わる取引ルールです。制作会社やフリーランスが、より規模の大きい事業者からデザイン・映像・Web制作などを受注する場合、情報成果物作成委託として対象になりうるとされています。
- 適用されるかどうかは、発注者と受注者の資本金や従業員数、委託の内容によって決まります。公正取引委員会は適用対象を確認できる簡易診断ツールを公開しています。
- 公正取引委員会のガイドラインでは、フリーランス法と取適法のいずれにも違反する行為については、原則としてフリーランス法を優先して適用するとされています。
- 制作会社が受けた仕事をさらに外部に依頼する場合は、自社が「委託事業者」の立場になることもあります。
具体的な場面の例
たとえば、広告制作会社がクライアントから受けた動画制作の一部を、生成AIを使う小規模な映像制作会社に再委託し、納品後に「AIを使ったのだから」と協議なく代金を引き下げる場面では、取適法の代金の減額の禁止(第5条第1項第3号)や、協議に応じない一方的な代金決定の禁止(第5条第2項第4号)の規定が関係するとされています。